当時はまだ「フェアトレード」という言葉さえ知らない人が多く、商品も少なかったので、私はなるべくフェアトレードのコーヒーや紅茶、ポーチやランチョンマットなどを販売したいと思っていました。

でも正直なところ、フェアトレード商品だけでビジネスをやるのは(利益率が低いので)かなり大変です。また国内のフェアトレード業者さんもギリギリの予算でやっているので、オフシーズンになると在庫を処分するため、一般の人向けに商品のセールをやったりしていました。となると定価の何割引かで(私が仕入れた価格より安く!)一般の人が手軽に商品を買えるので個人商店は大打撃!

当然、店で仕入れたものは売れなくなります。業者さんの言い分もわかりますが、セール価格よりも高く仕入れた店にとっては厳しい現実でした。ならば、国内仕入れだけに頼ることなく、オリジナルのフェアトレード商品を自分で現地から仕入れるしかない。根っから旅好きな私は、自分で現地に出向き、フェアトレードの買い付けをしたいと思うようになりました。

ただタイにも行ったことのない素人が、いきなり買い付けをするなんて、ちょっとハードルが高過ぎて、何から手をつけていいのかわかりませんでした。

当時生協の友人が休職して一年かけてアジアを旅しました。私も独身の時はあちこち旅をしていましたが、若くして結婚し、すぐに子どもを産んで離婚したので、海外旅行を楽しむゆとりなど全くありませんでした。

でも風楽と名付けるくらいですから、元々フラフラするのが好きで、アジアの雑貨や衣類も大好き。そしてヒッピーやバックパッカーの旅になぜか憧れていたので、その友達に頼んで、一緒に買い付けに行ってもらうことにしたのです。

もうひとり横浜でエスニックショップをやっている友達も加わり、その彼と3人で最初はタイに行きました。トゥクトゥクに乗り、屋台でご飯を食べ、サンデーマーケットに行き、雑貨の値段交渉をし、ホテルは部屋を見てから決め、夕食の後も遅くまでマーケットをハシゴする。

タイに初めて行った私は、見るもの、聞くもの、食べるもの、全てが新鮮でワクワクの連続! アジアの旅の基本は全て彼から教わりました。

何度もタイに行っているのにタイ語は「サワディ・カー」と「コープン・カー」しか話せません。会話はお互いブロークンイングリッシュ。マーケットにいるタイ人とは、それぞれ身振り手振りで意思疎通。何より欧米人ほど早く喋る英語ではないので、なんとかヒアリングできました。もちろんきちんと会話できた方がスムーズですが、とりあえず仕入れはなんとかできました。

 

👉『本気で好きなことだけやってたら人気古民家カフェができちゃった』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】突然死した妻の相手は誰だった?...自分の不倫はさておき、弔問客の中からやましい男を探し出す。

【注目記事】「俺をおいて逝くな…」厚い扉の先にいた妻は無数の管に繋がれていた…。