E 集団力の運営には洗脳が不可欠

次にこの人間の特徴と集団力の関係をさらに掘り下げます。人間と人間の間には必ず軋轢が生まれます。その軋轢が常に修正されないと人間の間に諍いの種が残ります。少人数の集団ならば、顔見知りの先輩や友人なんかが仲裁して修正してくれます。

そうでない場合は問題です。自分をよく知らない人間に間に入られては納得できませんから、諍いの種は残ってしまいます。実は150人以上の巨大な集団力を束ねることは人間同士の直接的繋がりでは不可能だと言われています。問題に関わる人間の数が多すぎて、諍いを修正できません。

そこで人間が集団力を巨大化してまとめるために発明したのが、共同幻想の共有力でした。集団的アイデンティティー洗脳です。集団の構成要員に共通の幻想情報を洗脳します。その幻想により、よく知らない人間にも共感や絆を持たせると諍いは最小限化されます。そして巨大な集団力を束ねて内部の秩序が維持できます。

幻想は、例えば我々北朝鮮民族は選ばれた民族だ、キリスト教は素晴らしい、アーリア人は世界を救う、日本は天皇に選ばれた神の一族だ、イスラム原理主義は正しい、アメリカは世界一の正しい軍事国だ、IT産業は21世紀の先駆者だ、経済的成功者は勝ち組だ、東大出身者は選ばれしエリートだ、等々。

これらは集団力を維持するための洗脳ですね。なんとシンプルな人間。主義、常識、宗教などは集団力の維持に絶大な力を発揮します。

F 才能とリスクは一体

次に全体情報について説明します。人間の個性のダークサイドです。

人間が進化していない、文明が進歩していても人間は変わりません。これが人間の原理原則です。歴史は同じ原理原則の上に成り立っていると仮定すると一つ疑問が生まれますよね。過去の人類と我々の文化には決定的な違いがあります。それは宗教です。

過去の人類はみんな宗教をもっていましたが、現代人はもっていない人も多いですね(例えば、米調査機関が公表している2023年の調査結果では、アメリカ人の28パーセントが「無宗教」だったとあります)。

この違いを理解しましょう。宗教は人間に利益を与えていました。人間のニーズを満たしていました。そのニーズとは全体情報に対する渇望です。全体情報とは我々が把握している世界像という全体に対する情報です。世界像情報です。

人間には必ずこれが必要です。

また、全体情報により人間の認知や知覚の質は決まります。文脈が人間の知覚を決めます。映画のラストシーンがどういう意味をもつか、はそれまでのプロセスが決めます。ストーリー、映像の世界観、役者の演技が作り出したプロセスがラストシーンの意味を決めます。人間の知覚は全体情報という文脈が決めます。

 

👉『バックトゥ生物』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】夫の不倫現場に遭遇し、別れを切り出した夜…。「やめて!」 夫は人が変わったように無理やりキスをし、パジャマを脱がしてきて…

【注目記事】認知症の母を助けようと下敷きに…お腹の子の上に膝をつき、全体重をかけられた。激痛、足の間からは液体が流れ、赤ちゃんは…