全力でパパの目を自分に向けようとしている。スマホが見たいパパには子どもの声は届かない。

子どもは叫ぶように「み・な・いーー!」

パパ「パパは、み・る!」

目の前の光景に「子ども頑張れ!」と心の中で全力応援した。子どもも大人も、どうかブルーライトに心を吸い取られないでほしい。

花屋さん

マンションの2階に住んでいるが道を挟み向かいには花屋がある。

毎日ベランダで洗濯物を干す時に店先の花が目を引く。季節先取りの鉢植えが並んでいる。11月になるとシクラメンが並び始める。年末が近いことを店先の花で知ることができる。猛暑の夏には店先の花が減り、代わりに観葉植物が並んでいた。

ある日ホワイトボードがかけられ、見ると「猛暑で農家さんの花が黒くなってしまい入荷ができません」というお知らせだ。災害に近い暑さが続くからだ。

術後から25年以上整骨院通いをしており、その整骨院の前にも花屋があった。店の中に入ってみると、やはり花の本数は少ないが種類はたくさん並んでいて腰の曲がったおばあさんが一人でやっている花屋さんだ。

中には婦人が一人いて花屋のおばあさんは「命日だね」と声をかけていた。客の家族の命日を覚えているとは、なんと凄い。昔からやっているからこその地元付き合いが続いている、人と人との良いつながりの場面だ。

婦人は桔梗や百合、菊などを包んでもらっていた。私は二人の会話に聞き耳を立てながら、かわいい小菊があったので白と黄色を合わせて玄関用に選び順番を待った。

本連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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