多くの教職員は、仕事を通して生徒の成長を自らの喜びと感じています。同時に、何かしらのストレスや不安も抱いています。そして、ときにはうまくいかない現実に心を悩ませているのです。

公立学校で精神疾患を理由に休職となった教員は年々増加し、2023年度には7100人を超え、過去最多となっています。病気休暇取得者を含めると約1万3000人にのぼります。

あるとき、私自身も完全に自信を失い、心が弱くなり苦しくなりました。そして、苦しみから逃れようとしたのです。そうすると苦しみは増すばかりでした。

私は、「なぜ人は悩み苦しむのか」「どう生きればよいのだろうか」などと考えるようになりました。そして、その原因はすべて自分の考え方にあったのだと気づいたのです。

苦しんでいるのは先生たちだけではありません。失敗や苦難に直面し、自分に自信を失い、生きていくことに希望がもてないと感じている生徒もいます。生徒たちも大なり小なり、何かしら不安を抱えて生きているのです。

現在、学生・生徒等の自殺者は年間約1000人にのぼり、日本国内では例年2万人以上もいます。毎日約55人が自死しているという現状を考えると、とても心が痛みます。

私は、退職する前の3年間、中学校3年生を対象に道徳の授業を行っていました。テーマは「幸せな人生を送るために~夢を叶える方法~」です。授業後に書かれた生徒の感想には次のようなものがありました。

いろいろな人の授業や講演を聞いてきたが、教頭先生の授業で初めて心に響いた。人生の成功者の話が嫌いで、その人が言う、努力すればかなうなんて、たわごとだと思っていたが、やはり、成功者になる人には成功者になる理由があるんだと気づかされた。今日の授業を聞いて、夢をもっていいんだ、と思うことができた。本当にありがとうございました。(2022年2月)

夢を大きくもっていいんだなって思った。人は、努力したら成功するんだと思った。どれだけ失敗してもいい。その分、いいこともあると分かった。自分のしたいことをすればいいんだなって思った。今日は、ありがとうございました。(2024年2月)

自分に自信がもてず、希望もなく、夢を抱くことさえあきらめている生徒がいます。しかし、「夢をもっていいんだ」と未来に希望を見いだし、それに向けて自分なりに努力しようとしているのです。

 

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