はじめに
私は何の実績も名もない、ごく普通の一教員でした。
退職を迎える最後の年に、私は教職員に向けて通信を書きました。目的は、正しい生き方をして幸せな人生を歩んでほしいという願いからです。通信には、私の心に響いた好きな言葉を載せるとともに、自らの苦しみや失敗経験を通して、いかに自分が間違った考え方や生き方をしていたかを問い直し、綴っていきました。
「誠~教頭の独り言~」と題し、2023年5月~2024年3月まで毎週月曜日の朝に教職員の机の上にそっと置いていたのですが、先生方が本当によく読んでいただいていることに驚きました。
そして退職前、次のようなありがたい感想をいただきました。
いつも楽しみに読ませていただいておりました。心にジーンとくることもあり、私自身もいろいろと考えさせられたり、反省もたくさんあり……。今は健康で一日が過ごせる日々に感謝し、当たり前のような小さな事でも「ありがとう」を一日のどこかで口に出して言えるよう心がけています。
教頭先生と同じ年頃の息子をもつ親として、息子さんの大学受験のお話の時は、私もそんな声かけができたら……と何度も読ませていただきました。私ももちろんですが、子供たちにも感謝の心を忘れないよう言い続けていきたいと思います。
毎週読むのが楽しみで、時々妻にも見せていました。ファイリングもしているので、大切に活用させてもらいます。私もマイナスな捉え方をすることが多くあったので、教頭先生の生き方や考え方を日常で少し意識するようにしていました。特に「前向きに捉えること」「感謝の気持ちを忘れずに伝えていくこと」はこれからも大切にしていきたいと思います。
この1年、教頭先生が書かれた内容を思い出すと、「そうならないためにはどうしたらよいか」「考え方によって、人に対する見方、自分の行動を変えることができる」など伝えたいことが満載だったように思います。
また、他者の生き方から学ぶことで、今をよりよく生きていくヒントを与えていただいたと思います。このような機会を与えていただき「感謝」の思いと同時に、これからの自分が何に貢献できるか考えたいと思います。
この2年間、私は教頭先生とご一緒して改めて「自分には『逃げ癖がある』」と実感しました。特にこの1年間は毎週月曜日、教頭先生の「独り言」を読み、弱い自分を見つめてから仕事にむかうことができました。汚い言葉で罵られるより、厳しい言葉で責められるより、何より自分を見つめることができました。私も残りの教職生活を誠実に、感謝の意をもって過ごしていきます。
身に余るほどのありがたいお言葉で、今でも私の心の中に大切な宝物として刻まれています。そして、私こそ、感想で書かれたような生き方をしなければならないと肝に銘じているのです。