三人の娘(むすめ)

それからなん年といく月(つき)かの時がたち、一緒(いっしょ)になった二人にはつぎつぎと玉のような女の子が生まれた。ネセはおとうさんに、メラビはおかあさんになった。

一番目の女の子が生まれるとき、おかあさんはあの浜辺での不思議(ふしぎ)なできごとを夢(ゆめ)に見た。そのことをおとうさんに話して二人はうなずいたんだ。そこで、生まれた女の子にオリオンの三つ星にちなんで、チーホ・アルニタク・ウレシと名付(なづ)けた。

二番目の女の子が生まれるときも、おかあさんは同じ夢を見た。ちょっとちがったのは、夢を見ながらおかあさんがくすっと笑ったことだよ。その子にはチーグ・アルニラム・タノシと名付けた。三番目の女の子が生まれるときもやはり同じだった。

三番目の女の子はミーニョ・ミンタカ・スキと名付けられた。わんはあの夜の浜辺のできごとが気になってしょうがなかったので、生まれた三人の女の子たちを見守らずにはいられなくなった。

三つ星はオリオン座の中でもひと際(きわ)美しい。長女のチーホはのんびり屋さんでおっとり、夢見(ゆめみ)がちな女の子。小さなミーニョは泣(な)き虫だが、歌(うた)や踊(おど)りが好きで意外にしっかり者らしい。二人の間(あいだ)に立つ次女のチーグは気配り上手で情に厚く、ときどき面白いことを言ってはみんなを笑わせる。三人の娘たちはすくすくと大きくなっていった。

おとうさんとおかあさんは、畑でパッションフルーツを作りながら娘たちの成長(せいちょう)を喜(よろこ)び、いそがしい毎日の中であの不思議なできごとや夢のことはすっかりわすれていった。でもなぜかいつも、なにかというとこんな歌をうたっていたよ。

空に大きなオリオンかかる  太いベルトの三つ星は

 アルニタク ラム ミンタカよ  そーれそらそら種まきだ

山に大きなオリオンかかる  輝く三つのきら星は

 アルニタク ラム ミンタカよ  もうすぐうれしい収穫(しゅうかく)だ

……ケケケケケ……

 

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