「えっ?」

「ここまでだ。……さぁ服を着て」

「なぜ?」

「君を抱けないよ」

「どうして?」

「ふるえてる」

「抱いてくれれば、きっとおさまるわ」

「どうかな?」

「処女が面倒くさいの?」

「ちがうよ」

「じゃぁ、なぜ? なぜ抱いてくれないの?」

「妹とセックスする奴なんてあるか。いい子だから、服を着て!」

「嫌よ! 私、決心したんだもの。貴方に最初に抱かれたいの!」

「前にも言ったけど、僕は女には不自由してない。だが、バージンを奪って捨てるほど、悪い男じゃないよ。僕は結婚はしない。君はいつか結婚する。今はする気がないと言っているが、いい男が見つかったら、すぐ結婚しろ。……君には幸せになって欲しい。だから、それまで、バージンは大事にとっておきなさい」

私は力をなくし、そばのベッドに裸のまま腰かけた。

「私……綺麗?」

「あぁ、僕は色んな国へも行ったが、君ほど美しい女性に会った事はないよ」

「私……四日後には三十になるわ。十年後には四十になって、どんどん歳をとって、ずっと綺麗ではいられないわ。……今、綺麗なら、今、本当に綺麗なら」

次回更新は11月9日(日)、22時の予定です。

 

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