三毛猫のミーちゃんは毛だらけの猫。たかちゃんは猫も犬も好きだったが、たかちゃんの母親は犬派で、大の猫嫌いだった。猫嫌いの母親が、たかちゃんの耳元でそっと囁く。

「猫はねえ、みんな化け猫なのよ。夜な夜な、行燈の油を、長い舌でぺろぺろと舐めながら、耳まで裂けた口で、シャーって怖いんだからね」

と、たかちゃんを脅すのだが、たかちゃんは平気だった。

「猫って可愛いよ」

母親は、

「私は、結構毛だらけ猫灰だらけの猫が嫌い」

と、言うが、その癖、普段は冗談で、

「チューチューチュー、猫飼いな!」

と、鼠を見たら猫を飼うという事をよく言っているのが不思議だった。

そんな母親とは反対に、たかちゃんの父親は、鼠年生まれで、猫は、その干支の天敵の獣だったが、しかし、父親は大の猫好きだった。

「俺は、いいけど、お母ちゃんがな?」

「家には、小さい子もいるし、だからたか、猫はなあー?」

と、たかちゃんに言う。そのために猫は、父親のお婆さんの家で飼う事になったが ……。

「何で、あたしの所に、猫なんぞ持って来るんだい?」

と、お婆さんが言ったが、たかちゃんは無理矢理に、猫をお婆さんに押し付けた。

「ばあちゃんの家、チューチュー鼠出るでしょう、だから猫飼いな!」

「ね、鼠って……ええっ!」