「ああ、来い。泊りがけで来い。いつでもいいぞ」

圭は、泣いている。

「いつでも、手を伸ばせばつかめたのに、寂しいよ」

「バカだなぁ~。僕には、圭や社長は家族のようなものだから。呼んだら飛んでいくから、心配するな。間違っていたら、痛いげんこつだぞ」

「ああ~、あれは痛いな。アハハハハ」と、泣き笑い。美味しい食事だった。

寝る時、「久しぶりだな。一緒に寝るの」と、僕を見ながら、直ぐ寝落ち。早いな。疲れていたのか、速攻で寝た。

スッキリ目覚めた。朝食を済ませて、宿を出発。涼を運んでくれる水のカーテン、白糸の滝。

「凄いなぁ~。綺麗だ」

大きく深呼吸をした。気持ちいい。素晴らしい。圭は腕のいいガイドだ。

夕方、家に着いた。圭、疲れただろう。

「ありがとう。とても、楽しい、素晴らしい旅だったよ」

疲れただろうに、「香子おば、お土産だ。買物楽しかった」と、後ろの荷物を下ろした。

香子が驚いている。

「圭君、何これ! 全部?」

「そうだよ。僕の香子おばへの、気持ちだよ」と、にこにこしながら、玄関まで運んでいる。

「圭君、上がって、休んで」と言うと、

「若者は疲れていません。丈おじはもう年だから、労わってあげてね」