【前回の記事を読む】父さんが倒れて、そのまま息を引き取った。母さんは、「私の手を煩わすことなく、行っちゃった。父さんらしいわ」と泣いていた

第五章 これからも二人で

草津のシンボル・湯の花が綺麗だ。硫黄の香りがたまらない。

散策しながら、お土産品店へ。

「これ、香子おばに似合いそうだ」と、たくさん買っている。

可愛い足袋、ストール、ハンカチ、小さいポーチみたいなの。

「圭、買いすぎだよ」

「今日は、僕の第二の父親と大好きな香子おばさんの為の日だ。たくさん買いたい」と、両手いっぱいに抱えている。

思わず、涙腺が緩みそうだ。僕の事を第二の父親と言っている。圭はレジに並んでいる。僕は外で待っていた。笑いと嬉しさで、頬が緩む。嬉しい。

だが……行く先のお店で、たくさんの買い物。僕は荷物持ちだ。ほとんどが、香子の物だ。なんか嬉しい。

キーホルダーは三個買っている。少しダサい人形だ。笑っちゃう。

三件寄って、車の後ろの席がいっぱいだ。

「圭、買い物旅だな。アハハハハ」

圭は、にこにこと楽しそうだ。

五時頃、ようやく宿へ着いた。とても素敵な宿だ。二人でゆっくり温泉に浸かる。歩き疲れた体に、しみわたる。はぁ~。

部屋食で、凄い料理だ。ビールで乾杯。

「丈おじ、会社では会えないけど、家にしょっちゅう行くからな。香子おばに会いながら」