「社長、いいですか」

「ええ、どうぞ」

「報告に来ました。スミサ建築の契約解除をする報告です」

「えっ! どうした?」

「社員が苦しんでいます。スミサの担当が、辞めたり、体調崩したり、本当に苦しいと報告がありました。社員あっての会社です。

守る義務があります。社長、僕に任せてください。今、営業を引っ張らなくてはいけません。新規を頑張ると言ってます。僕も応援します」

「分かりました。監査役に任せます。社員を助けてください。よろしくお願いします」

「社員を苦しめる取引先はいりません。これで、社員の気持ちも落ち着くでしょう」

部長から、金曜日午後、四時にアポが取れたと連絡が来た。

 

当日、社員が落ち着かない様子。

「どうした。今日から悩まなくていいんだぞ。僕に任せて! さぁ、行くぞ」

スミサに着いた。受付をして、四階会議室へ案内された。

狭い会議室だ。五分後、

「お待たせしました。えっ! 山岡副社長!」

営業部長が慌てている。

「いえ、今日は三階堂の山岡です」

「お、お待たせいたしました」

部下を呼んで、耳打ちしている。