それ以降起こる偶然だとは思えない度重なる出来事は、チッケにクーカの存在を確信させた。
「クーカがいる! そばにいて私を見てくれている! でもどういうこと?」
チッケの頭の中は疑問符だらけになったが、クーカの存在を強く感じる自分を信じた。
クーカは、身体を失っていても意識だけで信じられない経験ができているこのおかしな現象にクスッと笑ってしまった。
「俺は飛べるのか? 人の脳の中に侵入して行動を指示したり変えたりできるのか?」
死を迎えた後にこんなことが待っているなんて、生きている時には思いもつかなかったことだとクーカは久々に楽しくなった。
クーカのように強く意識を抱き、意識を切らさないでいたら、意識は肉体から乖離して生き残るのだろうか。やはり意識と身体は別々なのだろうか。
クーカのこれまでの知識だけでは、どれだけ懸命に考えてもどうしてもわからなかった。
オルガはチッケとクーカの共通の仲の良い友達だ。三人の出会いは十代の頃で、オルガの家の二軒先にチッケの実家がある。
オルガは
「俺はお前達の、愛のキューピッドだな」
と自称していた。クーカはオルガに
「俺に何かあったらチッケをかまってやってくれな」
そう常々言っていた。そしてオルガは親友だったクーカとの約束通り、見かけるたびにハンカチを鼻に押し当ててつまらなそうにぼんやりしているチッケを誘ってみることにした。
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