【前回の記事を読む】離婚して9年、別れた妻に急に呼び出され再婚を求められた。新しい妻がいることを伝えると「本当に愛してるの?私の代わり?」

第三章 新しい家族

丈哉さん、何かあったんだろうな。

「座って」

お水を飲ませた。

「前の妻に会って、嫌な思いをした。気分が悪いし、早く帰って香子に会いたかった」 

優しく抱いてあげた。しばらくそのままでいた。辛かったでしょうね。

話し始めた。

「どうしてあんな身勝手な事が言えるのだろう。佐和も久さんと一緒だった。離婚して、子供を一緒に育ててほしいと。よくも僕にそんな事が言えたもんだ。腹が立った。水をぶっかけたい、と言ったら、びっくりしていた。僕がいいよと返事するとでも思っていたんだろう。再婚して最愛の妻がいて、今が人生で一番幸せだ。着信も拒否し、一切連絡をするなと言って席を立った」

「ありがとう。安心したわ。辛かったね。よく頑張りましたね」

「僕の香子! 君が居れば、幸せだよ」

強く抱いている。

「ええ、あなたの香子です。そして、私の丈哉さん!」

お互いに大切な存在である事を、そして愛を確かめ合った日だった。

 

土曜日は私から離れない。キッチンに居ると食卓テーブルで新聞を読んで、お昼はいつもの昼寝スタイル。テントウェアーの中を覗くと太ももにマークをたくさん付けている。しばらくすると寝ている。その間に、お夕飯の準備。あっ、起きた。

「お水飲みたい」

「は~い、持っていきますね」

「飲ませて」

「まぁ、赤ちゃんみたいね」

「美味しい」

強く抱きしめている。昨日は凄く辛かったようだ。少し不安なのかな。

「太郎達と散歩しながら、お買い物行きますか?」