第一章 アミの生い立ち
アミは、龍の国に生まれた王女であった。年若いころから王様の子どもとして育てられ、皆から可愛がられる愛らしい子であった。アミと一緒に育ったのが、マナという名の龍であった。
マナは、アミといつも一緒で、アミに寄り添っては、一緒に遊んだり、勉強をしたり、アミの隣に添い寝したり、毎日を楽しく暮らしていた。
アミは、マナの背中に乗って空を飛ぶのが好きで、自由にあちこちを行き巡っていた。五歳の時には、水中をくぐることを覚えて、マナと一緒に水中マスクと眼鏡をかけては海の中を散策し、サザエやアワビなどの貝類を採っては王様を喜ばすのであった。
龍の国の様子は、次のようであった。王族は、現代の人間のようであり、王族が天の神に祈ったり、祭祀の職を司り、将来の予言をしたりして、人民を治めていた。
次に位が高いのは、武族である。武族は、完全に龍たちからなっており、戦闘能力を備えていた。龍の子たちは、幼いころから王族の子たちと仲良くしていて、共に育つことも珍しくなかった。
ゆえに、アミとマナは仲良しだったのである。さらに次の位に来るのは、商いをする者たちや物を作り出す工人たちであった。彼らは、人間と龍の混血のような者たちで、星の国の者たちや、天の神々とかかわりを持っていた。
また、街並みについては、石とレンガ造りの建物が多くあり、漆喰を使って石やレンガを固めていた。
また、歩道も石造りであったが、酒場など人々が娯楽でくつろぐところは、木造の建物が多かった。街を広げるために、大工や左官、石工などは重宝されていたのである。
龍の国では、農業は必要でなかった。人々の愛と誠の精神が環境に影響を与え、食べていくのに必要なものは、自然と自生するのであった。この国の人たちは、現代の地球人が食べるオートミールのようなものに、果物やお菓子を混ぜたようなものを食していた。
ただ、人々は美的センスが高く、花を栽培するのは好きであった。事実、王族は、祭祀職を果たすために、神殿の裏庭には広大な土地を持ち、ひまわりの花を栽培することなど珍しくなかった。