スンダランドとベーリンジア

世界の動物地理区の区分において、ウォーレスは、東洋区(東南アジア)の東の端の動物地理境界線(ウォーレス線)を、インドネシアのバリ島とロンボク島の間のロンボク海峡からフィリピンのミンダナオ島の南にかけて引きました。

ロンボク海峡は水深が二五〇メートルあり、最終氷期にも海峡としてありつづけ、バリ島とロンボク島は陸続きになりませんでした。

インドネシアのバリ島の大陸棚を北側に延長すると、広いジャワ海に広がったスンダ大陸棚の縁辺を通り、ボルネオ島の大陸棚からフィリピンのパラワン島の大陸棚の東側の縁辺を通ります(図7)。

図7 ワラセア区の海底地形と動物地理境界線とスンダランド。破線は動物地理境界線。

この大陸棚縁辺は、東洋区のこの地域での東端にあたり、動物地理境界線としては「ハクスリー線」に相当します。

そして、このハクスリー線の西側のボルネオ島を含んだ広大なスンダ大陸棚に最終氷期に存在した陸地は「スンダランド」と呼ばれます。


【4】Daly, R. A. (1934)“The Changing World of the Ice Age”. Yale Univ. Press, 495p.

 

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