【前回の記事を読む】腎臓病のことを悩んでも良くなるわけじゃない。なら悩まないくらい他の事に集中しよう! そうして始めたのは…

【入退院を繰り返す日々】

それから数か月の自宅療養が続いて1年が経った頃に、まだ仕事の許可は出せないと担当の医師から言われて、会社に休職の延長を頼んだ。貯金も底を突きそうだったが、今はマイナスなことは考えてもどうすることもできないので身体のことに集中しようと決めた。

そうは言っても落ち込んだ。この頃、怠いことが多くなり、足首が風船?と思うほどに浮腫んで自宅のベッドで横になる時間が増えていった。

しかしいてもたってもいられずに親戚から、鍼の腕がいい先生が群馬にいると聞けば、怠い身体で群馬まで鍼を受けに行ったり、世田谷に腎臓に良い整体の先生がいるようだと聞けば、世田谷まで行った。とにかく藁をもつかむ思いだった。

携帯電話で「腎臓の名医」などで検索もよくしていた。ある大学病院の腎臓部長の医師の名前が出てきた。そして「腎臓病勉強会」が開催されるという。先のことを考えると、体調のことよりこの勉強会には行くべきだと感じた。悩む間もなく申込みをしていた。

勉強会当日、怠い身体で会場に着くと、終了後に医師による個人相談会があるというので申込んだ。個人相談会は、複数の医師がそれぞれのテーブルに居て申込み順にひとりひとりが開いたテーブルに行くという方法で、どの医師になるかは分からなかった。

いよいよ順番が来た。開いたテーブルに居る医師は、なんと講師をしていた腎臓部長の医師だった。「なんてラッキーなんだろう」わくわくしてきた。

今までの腎臓悪化になった経緯や検査のミスで水腎症になったことなど、細かいことまでじっくりと聞いてくれた。

「大変な経験をしたんだね。一度壊れた腎臓は治らないけれど、これからの治療や不安なことは診ていくことができる。もしセカンドオピニオンを希望するなら診てあげられますよ」と言ってくれた。何だか病気が治ってしまったと思うくらい嬉しくなって、安心感でいっぱいになった。

後日、かかりつけの医師にその旨を伝えると、もちろんその医師のことを知っていて「えっ!」と、絶句して「あの先生に診て頂けるのなら安心して送り出せます」と言ってくれた。

その後、大学病院へ通院し始めた。すでに人工透析に近づいていたほど腎臓は悪化していたので、自分自身が最も納得できる医師に診てもらうことが重要だった。