【前回記事を読む】「食べてはいけない、食べたらどうなるか…」神さまは何故、そんな果実をつくったの?――子どもと一緒に読める聖書の物語
【アダムとの出会い】
おいらは花だよ。
名前はマナ。
この星で言葉(ことば)を話せる花はおいらだけなんだ。
おいらが最初(さいしょ)に咲(さ)いたのは、小さな男の子のそばだった。
彼(かれ)は、おいらに言った。
「やっと、咲(さ)いたね。君(きみ)も一人なんだよね。やっぱり、一人は、つまらないよね。でもね、ぼくにはもうすぐ友だちが出来るんだ。神(かみ)さまが、ぼくの身体(からだ)の骨(ほね)の一つからつくってくれるんだって…………」
おいらは言った。
「それはよかったね」
彼(かれ)は驚(おどろ)いて、おいらを見つめた。
「君(きみ)は花なのに、お話出来るんだね」
「そうだよ、おいらの名前はマナ」
「ぼくはアダム。マナっていうんだね。ぼくの友だちになってくれるかい」
「うん、よろこんで…………ところで、おいらも、君(きみ)の友だちに会いたいなあ」
「うん、明日、連(つ)れてきてあげるね」
次(つぎ)の日、フッと温(あたた)かい息(いき)で、おいらが目覚(めざ)めた時、小さな女の子が、おいらに頬(ほほ)を寄(よ)せていたんだ。