こうして夢のように楽しい夏の日は瞬く間に過ぎて、子供達は残り少なくなった夏休みを惜しんで利根川で水遊びに興じる。そんな時に限って、思わぬ水の事故が起こるもの。
一郎の同級生に島田君という仲良しの子がいたが、彼はその日、強烈な残暑に耐えることができず、利根川に水遊びに出掛けて行った。河原に着いた彼は、衣服を脱ぐのももどかしく、その場に脱ぎ捨てるようにして、ざぶんとばかり、そこに掘られていた砂利採取の穴の中に飛び込んでしまった。そして二度と浮かび上がる事はなかった。
砂利採取の穴の中は水温が低く、心臓麻痺を起こしてしまったのである。仲間の子供達は訃報に接し、声を上げて泣いた。あの無邪気な彼の笑顔は、もう二度と見る事はできない。
毎年夏の終わりを惜しんで子供達で賑わう利根川の河原は、いつもの年とは違い、遊ぶ子供達の数は例年の半分にも満たなかった。友達を失った悲しみは大きな傷跡となって子供達の心に残り、楽しいはずの夏休みは、忘れる事のできない、辛く悲しい夏休みとなってしまった。
いつもの年ならば、盆踊りや大我井(おおがい)神社の火祭り、水遊び、たくさんの行事、それに宿題の整理。目の回るような忙しい夏休みの後半、子供達が河原に行く事はなくなり、島田君の霊に別れを告げ、アキアカネの飛び交う秋の季節へと向かうのだった。
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