ウソーは、応えた。

「エロイーズではなくて『新エロイーズ』だ。この本で、私は、一躍有名人になり、時代の頂点に立つことができたんだ。貴族からも高い評価を得た恋愛小説なんだよ」

コーは、正直に言った。

「ウソー先生は、恋愛小説まで書けるんですね。ウソー先生の代表作は『エミール』だとばかり思っていました」

ウソーは、力強く応えた。

「コーよ。私が力を入れて書いた『エミール』は、悲しいことに、すぐには理解されなかったんだ。その当時は、子どもが教育の主人公という考え方は、斬新な考え方でね。私は貴族たちから、あざ笑いされるようになったんだ。理解されないって、本当につらいもんだよ」

コーは、言った。

「私も一度信じてもらえなかったことがあります。あ、それはいいか。もう過ぎたことだから」

コーは続けて言った。

「ウソー先生、今では『エミール』はウソー先生が書いた教育小説としてとても有名です。教育の中心点を子どもに置いたという所が、素晴らしいと思います」

ウソーは、笑顔で応えた。

「ありがとう」

コーは、正直に言った。

「正直言って、今読みたくなったのは、『新エロイーズ』です。言葉の響きが、とてもさわやかでエロチックです。何か期待させてくれます。若き恋の炎を予感させてくれます」