裕翔ははっきりと声に出して伝えた。たとえ今死んでしまったとしても、本当に伝えたいこの気持ちだけは、自分の口から自分の声で伝えたかった。
「だから、その噂通り、付き合おう」
二人きりの教室で、裕翔はしっかりと彼女の目を見て告白した。
ずっと心臓はバクバクしていたが、それは死への恐怖というよりも、人生で初めて告白することへの緊張によるものだった。
「うん。よろしくお願いします」
少し間が空いた後、彼女は恥ずかしそうに小さな声で承諾した。嬉しさと照れ恥ずかしさで、心臓はずっとバクバクしていた。
こうして二人は付き合うことになった。それはお互いにとって初めての恋人だった。
それからは学校に行くのが楽しかった。彼女はたまに早退することもあったが、二人とも予定がない放課後は決まって屋上で過ごした。その後、一緒に下校するというのが二人の放課後デートだった。
「今度は水族館行かない? あとサファリパークも行ってみたい!」
『動物好きすぎだろ』
「だって好きなんだもん! これからいろんなとこ行こうね!」
あれ以来、裕翔が口を開いたのは告白の時だけで、それ以外は今までと変わらず音声アプリで音を出し、彼女だけが口を開いて発声していた。
これまでずっと彼女だけが口を開けて話し続けていることに、裕翔はモヤモヤしていた。
付き合ってから三週間が過ぎたある日、いつもの放課後の屋上で、裕翔は彼女にあるお願いをした。
『もう、声を出さないでほしい』
声が有限の世界で、声を出すことは死へ近づくことを意味している。