2―1 兄弟、地球に降り立つ
地球では選ばれた天使や女神たちが、各々与えられた役割を忠実に果たしていた。大地を耕し、種を蒔き、作物を育てる者、海で魚を獲る者、山や野で草木の恵みを採る者、動物を狩る者……。皆、神に感謝しながら神聖な食べ物、生き物の命をいただいた。
火をおこし、絵を描き、歌を歌い、音楽を奏で、愛を語る。神の創造する新たな未来が始まった。いつしか天使と女神の間に恋が芽生え、まさに天使たちの楽園が誕生したのだった。
青い美しい海のほとりに絢爛豪華な宮殿が建てられた。宮殿には最高責任者としてすべてを管理する神官が置かれ、未来を指し示した。多くの天使と女神が神官に仕えた。 宮殿の対岸の小高い丘には黄金の果実が実り、果実には神のシンボルが刻まれた。
神は新天地、地球にルシフェルとミカエルを遣わした。
二人は神の創造した地球の未来の伝承者として、柔らかい光に包まれながら地上に降り立った。
神が愛する地球、真珠色の輝きを放ちながら宇宙に浮かぶ星―。初めて見る七色の輝きが二人を魅了した。
「美しい!」
「ああ! なんと美しくすばらしい世界なんだ!」
ここでは生きとし生けるものが喜びに満ちあふれていた。二人は心が躍り、思わず笑みがこぼれ顔を見合わせた。
ガブリエルとラジエルが満面の笑顔で兄弟を迎えた。ラジエルはいかにも頭脳明晰そうな顔をしており、ガブリエルは天真爛漫な元気者に見えた。キャラの違う二人が神官の待つ宮殿までルシフェルとミカエルを案内をしてくれた。
緩やかに流れる川を越えると花々が咲き乱れる野に出た。
黄金色に輝く稲穂がそよ風に揺れ、鳥たちがさえずり、動物たちが元気に飛び回っている。どこからともなく漂うほのかな香り、心地よい音……。
二人は見るもの聞くものすべてに心を奪われた。 先導するガブリエルに遅れないようについていくと、やがて目の前には青い海が姿を現した。
その美しさに皆立ち止まり、我を忘れ感動に浸った。
海のほとりに煉瓦で飾られた美しい渡り橋が見え、橋の向こう側にきらびやかな光を放つ宮殿が姿を見せた。