【前回の記事を読む】「インスリンの働きが悪い」とは何か? 糖尿病の仕組みをピッチャーとキャッチャーでわかりやすく解説!

第1章:糖尿病の病態・疫学

17. インスリン、量の不足(ピッチャーが悪い)

A:インスリン分泌が少ないから高血糖になる、よく分かります。

M:以前、2型糖尿病は遺伝しやすいとお話ししましたが、膵臓がインスリンをつくる力の弱さが遺伝するケースが多いです。ちなみに私自身も母方が糖尿病の家系で、以前精密検査を受けたところ、インスリン分泌が低下し始めていました……。

A:みなみ先生、糖尿病家系なんですか! スマートだから、全然そんなふうに見えません。

M:私はインスリンの分泌が低下傾向なので、食後高血糖なんです。そのため、食事や運動に気をつけて太らないようにしています。あきさんには糖尿病の家族歴はありますか?

A:思いつく限りでは、ないと思います……。

M:それはよかった。祖父母、親や兄弟など、家族に糖尿病がいる人はインスリンをつくる力が遺伝的に弱い可能性があります。そのため若い頃、できれば子供の頃から、ジュースやお菓子などの糖質を摂り過ぎないよう注意が必要です。予防は早い者勝ちなのです。

A:予防は早い者勝ち、とても良い言葉ですね! 私には家族歴がないですが、糖尿病にならない保証はないので、ジュースやお菓子を食べ過ぎないように気をつけていきます!

18.インスリンをつくる力、元に戻らない

M:17項では、インスリンの量の不足で血糖値が高くなるパターンをお話ししましたが、2型糖尿病と診断されたときは、膵β細胞の機能が約50%まで低下しているといわれています(図9)。