それは喜んでいる時も、悲しい時も同じです。ですから自分には喜びのあまり人に抱きついたり、泣きじゃくったりといった経験がありません。大学受験に合格した時でさえ、喜びは一瞬で過ぎ去り、もう新しい住居の選定に頭を働かせていました。

そんな私の反応を見て、一緒に結果を見に行った親戚のおばさんが拍子抜けしていたのを思い出します。そんな感じですから、私は「自分は情が薄いので、感情表現ができないのだ」と思い込んでいました。

また、日本人にはそんな方が多いと思いますが、そもそもネガティブな感情を持つのは「男らしくない」「人間ができていない」証拠だと思い込んでいましたので、人前で涙を流したり、落ち込んだりする姿を見せないようにしていたという部分もあります。

しかし、EQの勉強を始めてようやく、人間は感情を感じるようにできていて、感情で判断したり、知らず知らず感情を認めてもらう(共感してもらう)ことを求めている存在だということを知りました。

つまり、感情を自然に感じているのに、さも感じていないと自分に思い込ませていただけだったわけです。

感じている感情を無視して、「感情にフタをしている」とどうなるでしょうか? 自分の心が悲鳴をあげるようになります。

ストレスの行き場がなくなるのですね。もしくは感情に対して鈍感になってしまいます。そうなると自分の感情に鈍感なだけではなく、他人の感情も感じられなくなってしまいます。

 

👉『認知症とEQ』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】帰ろうとすると「ダメだ。もう僕の物だ」――キスで唇をふさがれ終電にも間に合わずそのまま…

【注目記事】壊滅的な被害が予想される東京直下型地震。関東大震災以降100年近く、都内では震度6弱以上の地震は発生していないが...