事実、感情は私達の生活に重大な影響を及ぼしています。
瞬時に判断を求められることが多いビジネスの世界ですが、思い出してみると、〝この人は嫌いだから、持ってきた企画を却下しよう〞とか、〝明日は雨が降るから外出したくないな、面倒だから行かなくて済むようにしよう〞とか、〝今日はいいことがあったから、面倒な仕事でも頑張れる〞とか、些細なことが仕事に影響することが時々ありませんか?
私達は理性的に判断しているつもりでいても、よく思い出してみるとけっこう感情の動きに振り回されてしまっているものなのです。
では、ついつい気にせずに通り過ぎてしまう感情の動きを意識するにはどうしたらいいでしょうか?
私は小さい頃から自分のことを情の薄い人間だと思っていました。
なぜそう思ったかを思い出してみると、例えば本気で怒るということがあまりなかったということがあります。
もちろん今まで長い人生を生きてきたわけですから、激情を感じたことはあります。しかし、そんな時でも自分の頭の中には常に冷静に自分自身と状況を分析しているもう一人の自分が同居していました。
怒りながら、もしくは怒鳴りながら、激情によって体中にアドレナリンがめぐり、呼吸は荒くなり、心臓の拍動も激しくなっていながら、
しかし私の中では常に「なぜ自分は怒っているのか? 何に対して怒っているのか? それは正しいことなのか? 怒りを表現したら、どういう結果が起きるのか?」そんなことを考えているのです。要するにどこかで冷めているわけです。