会の間、カメラが少しでも私たちのほうを向くと、善一さんは机に突っ伏すようにして顔を隠していました。翌朝のニュースで私たちが映ってなかったことを知って安心したようでした。
総会は、発起人であるKさんの感動的な挨拶から始まり、終始真剣でかつ和やかなムードで進みました。この会が発足できるまで、たくさんの方々の努力や苦労があったのだなあと、簡単にこの会への出席を決めた自分が少し恥ずかしい思いでした。
ALSという世に知られていない難病に立ち向かおうと、意志の強い行動力のある人たちが頑張って、この会が発足できたのだと気づかされたわけです。世に知られていないがための世間の偏見や誤解と闘うには、一人の力では小さすぎるのです。患者だけが悶々と孤独に苦しんでいたのが今までだったのです。それをKさんら多数の方々の尽力で、とにかくここまでこぎつけた。そういう印象でした。
発起人の中の医学関係者以外にも、全国から医学関係の方々が駆けつけてくれたことが大きな驚きでした。全国津々浦々から、多忙な中、貴重な時間を割いて、自腹で交通費まで出して来てくださった先生方がたくさんおられたのです。心も強くなろうものです。
一部の総会は白熱し、予定時間をオーバーして終わり、休憩後に開かれた二部の懇親会も、一部以上に熱気を帯びて進められました。それは、一患者が立場や環境を超えて、一流の先生方に直接質問ができるという夢のような機会だったからです。
司会者の方が、あまり意見が出ないだろうと見越して、名簿から無差別に指名して会を進めようとされていたのに、次々手が挙げられ、意見を発表したい、あるいは質問をしたいという人が多く、司会進行に苦慮されるほどでした。