【前回の記事を読む】半信半疑で受けたマッサージで奇跡のような体験?! 「気」をもらって先生の代わりに私がマッサージをすると…
奇跡
善一さんの身体をマッサージする、という治療方法は、私と善一さんとの間に、これまでにない親密なコミュニケーションの場を与えてくれた。これまではなすべきこともなかった故であるが、私はただ、善一さんが自分自身の心をしっかり持ってくれるよう傍観者としてそばにいただけだった。
今は、私が治してあげるのだ、二人で協力して治すのだ、という信念が生まれ、これまで孤独だったあの人が、もう自分は孤独ではないと感じ始めたことも、善一さんの症状を良くする条件の一つになったのだと思う。私は無責任だったのだろう。妻としてやらねばならぬこともせず、すべてを善一さん一人に委ねていた。それは大きな間違いだった。
私が善一さんの身体に触れることにより、善一さんは孤独感から救われ、闘病のための意志を強く持つことができたのだ。夫婦だから、嬉しいことも辛いことも一緒に感じなければならないのだった。
あの先生は、夫婦二人、力を合わせて病気と立ち向かうことの大切さを、こんな形にして教えてくれたのだ。私にしても大きな意識の変革だった。すばらしいことだった。これだけでもあの先生と会った甲斐があった。