【前回記事を読む】本当の人生を生きたことのない馬鹿どもは、裸でそこいらの、虻や蜂に刺されまくっていた。お陰で奴らの顔は赤く腫れ...
第四歌
目を覚ましたダンテ(生徒)は、ウェルギリウス(先生)に従って、火山の噴火口に似た圏(わ)をなす、第一の谷に入る。
そこは、辺獄(リンボ)と呼ばれ、善良だがキリスト教の洗礼を受けなかった者の魂が墜とされている。
その魂の中には、「オデュッセイア※1」で有名なホメロス※2などもいる。
他にも、アリストテレス以下の高名な学者たちが、ここ辺獄(リンボ)には、罰も受けず光の差す高貴な城の中に住んでいる。また、日本の有名な偉人たちも暮らしている。
ダンテもしばらく、その緑の原を散歩する。
激しい雷鳴がドタマの中の、
深い眠りを覚ました、無理矢理
叩き起こされた私はガバッと跳ね起きた
そしてまっすぐ立ち上がると、ロボットダンスさながらカクカクと、
私が今いる場所を理解しようと
目のピントを合わせた
私が立っているのは、
嘆きの谷の深淵の縁
そこには果てしない叫喚があり蠢いている
その谷は暗く、深く、霧も濃く、
いくら谷底を見つめても
屁をこくくらいしかできなかった
「さぁ、この下の盲人の世界へ降りるとしよう」
と、屁の匂いに苦りきった先生が口を切った、
「私が先を行く、お前は後ろからついてこい、屁はこくなよ、絶対に」
私は先生の顔色に気がついて、言った、
「いつも私が怖がると励ましてくださるあなたが、なぜか心配しておられる、もしや屁を私にかましてやろうと? 報復として」
すると偉大なる詩人ウェルギリウス先生が私に言った、
「この下界にいる人たちの苦悶を思うと、私の面に苦虫が出てくるのだよ
それをお前は、お尻かじり虫と勘違いしておる
さぁ、行こう、この屁こき虫めが! 急ごう、虫の如く」
こう言って、尻穴をブーブー言わしながら、
深淵を取り巻く、第一の谷に私を導いた
ここではなるほど、
永劫の空気を震わせて皆、
溜息をついていたが泣いてはいなかった