3 終身受け取れる年金を増やす
繰下げ受給
公的年金の受取開始は、60歳から75歳の間で選択できます。原則65歳から受給する公的年金を、65歳より早く受け取ることを「繰上げ」、66歳以降に受け取ることを「繰下げ」といいます。
繰上げ受給の減額率は、1カ月あたり0.4%、繰下げ増加率は、1カ月あたり0.7%となっています。
公的年金を増やして受け取ることのできる繰下げ受給について、人生100年時代に重要なことですので知っておくべきでしょう。
年金を繰り下げて受給するメリットは、受け取る年金が1カ月繰下げるごとに0.7%ずつ増えることです。
図21のように、老齢基礎年金、老齢厚生年金ともに繰下げ受給をした時点から、5年間で42%、10年間で84%年金額を増額できます。
65歳以降の生活費を、可能な範囲で安全資産から先に取り崩すことにより、その期間だけ受給開始年齢を繰下げることができます。
繰下げ受給することの強みは、増やした年金を亡くなるまで受け取ることができることです。繰下げ受給により、終身で受け取れる年金を増やせば、長寿リスクへの有力な備えになります。
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、個別に繰下げを選択できます。また、別々のタイミングを選んで、受取時期を選択することもできます。
繰下げ受給では「早死にしてしまった場合を想定すると、年金を繰下げることで損をしてしまうのではないか」という趣旨の指摘があります。
年金の支給開始時期を繰下げた場合に、早く亡くなってしまうと、受給総額は65歳から受け取り始めた場合と比較して少なくなってしまうこともあります。
繰下げた老齢年金を、いつから受給すると得をするのかは、どれだけ長生きできるかにかかっています。