第二章 伝統的テコンドーの三つの要素

組手(テリョン)

フリースパーリング(チャユ・テリョン)

この原理は、打ちや蹴りの実践にも適用される。相手に加える一撃は、常に節度を持っ てコントロールされなければならない。また、相手から受ける一撃は、常に技の衝撃力を実演して見せなければならない。

これを通じて生徒は、相手の健康を重んじる穏やかな人間へと成長していく必要がある。自分の行動が自身や相手にも影響すると実感した時、自分の判断は常に善かれ悪しかれ結果をもたらすのだと理解することができる。実生活における決断力は、こうした知識によって高められ磨かれていく。

スパーリング中、相手をかわしながらじっくりと考える余裕はない。生徒は即座に判断し、その結果に対処しなくてはならないのだ。そのため、現状のスキルレベルと、実践できる技の選択肢を素早く査定する必要がある。

もし守備を緩めたり、何かしら行動に移ったりしてしまえば、スパーリングパートナーは、こちらの守備の隙をついて瞬時に攻撃や反撃を仕掛けてくるだろう。 特に、自分よりも強く経験豊富な選手とのスパーリングは、自分自身の能力を素早く見極める重要性を教えてくれる。

実生活では、日々様々な決断に迫られる。時に結果を恐れ、自分の判断に対して不安を感じることもあるだろう。しかし、熟練された生徒は、スパーリングでも日常生活でも優柔不断であってはならない。しっかりと自分に集中することが できれば、自ずと答えは出るはずだ。結果を恐れるのは、私たちが注意深く、慎重になるために大切なことなのである。