第二章 伝統的テコンドーの三つの要素

撃破(キョッパ)

撃破(キョッパ)もしくは素材の試割りは、テコンドーの中でも見応えある競技の一つである。手足を使い様々な素材を割るこの技は、東アジアにある他の武道同様、テコンドーのトレードマークと言える。

撃破は、各昇級・昇段審査の習得課題であるため、ほとんどのテコンドー流派では不可欠とされる。個々のレベルに応じて習得すべき撃破が定められており、階級が上がるにつれて高度なテクニックとスキルの習得が必要となる。

また撃破は、デモンストレーションや試合など、各昇級・昇段審査以外でも披露されることが多い。そのため、撃破はテコンドーの主要な部分のように思われるが、実際のトレーニングで練習することはほとんどない。

撃破は、自分のエゴを満たすために行うものではない。撃破には、物を打ち砕く以上にもっと大切な意味がある。

表面上、撃破の目的は、生徒の技の正確性を審査することである。トレーニングやスパーリングはノーコンタクト制なので、撃破は技の威力を測る上で有効な方法といえる。また、相手が負傷するリスクもなく、全力で技を実践することができる。

上級レベルになれば、さらに高度なテクニックを用いた撃破を実演しなくてはならない。こうしたデモンストレーションを通じて、怪我を負わず技を正確に実践できることを示し、敵に十分なダメージを与えられる威力があることを証明する。

各階級における撃破の習得技は、流派や協会によって異なっている。

例えば私の流派では、最初に習得すべき板割りの課題は、横蹴り(ヨプチャギ)である。個々の技とその威力を証明するため、撃破の実演には様々な素材が用いられている。

その中でも木材は、最も一般的な素材である。