3月5日(日)
イェヌーファ新国立劇場オペラパレス
今日は新国立劇場・オペラパレスで、ヤナーチェク作曲『イェヌーファ』を観た。私が観た限りの、最も暗い話であった。妊娠したが捨てられ、横恋慕された男には頬を切られ、密かに生んだ子供は世間体を気にする養母に殺される。舞台を観ながら、気持ちはどんどん沈んでいく。ヤナーチェクの音楽は、濃密である。2度の休憩を挟んで3時間のオペラであるが、最後の2分に救いが置かれる。
2分というのは体感である。5分だったのか、あるいは1分だったか、分からない。この末尾の数分のために、2時間数十分があったのだと思った。第1級の舞台であった。ヤナーチェクの音楽は勿論、演出、舞台装置、指揮、すべてが素晴らしかった。
出演者も見事だった。養母コステルニチカにタイトルロールと同等、あるいはそれ以上の拍手があったが、それはこの聴衆のレベルの高さであると思う。私はオペラ・ファンとして初心者であるが、この役の重要さと、今回の演者ジェニファー・ラーモアさんの素晴らしさは理解できた。