そんな事を考えているとすぐ先生は自分の方を指す。『このページのここ読んで』他人から読んでと言われるのが世界一嫌だった。生まれつき、文字が読めるのに言葉が上手く出なくなる病気があったから。もちろん誰からもそう診断されてないし病院で診てもらった訳でもない。けどわかる。病気ではないけど、自分では病気と思ってる。だってそう割り切った方が楽だから。
きっと世界にもたくさん同じ病気を持ってる人はいる。けど中学、後に高校、大学、社会に出ても同じ病気を待ってるような人はいなかった。それが全ての原因かのように自分の心も身体も細くて弱かった。喋ると笑われる、そう思うとどんどん自分が小さくなっていく。小さくなって小さくなって消えていく。自分で自分を何回もよく殺してた。
強みと弱みを知る
サッカー部に入り、別に蹴りたくもない球を蹴飛ばして仲良くしたいとも思わない友達風な人と遊んだりした。そもそも何でサッカー部に入ったかというとサッカーってカッコよかったから。
テレビで見てると華があって皆んなかっこよくてムカついたから入ってやった。だが、そうやって始めたことは大抵長くは続かない。部活の顧問がもともと好きじゃなく、というのも顔が嫌いだった。ピエロみたく鼻はいつも赤くて、髪型も某有名ピエロ映画に出てくるなんとかワイズみたいで怖くて嫌いだった。
家に帰って、排水溝やお風呂から出てくることはなかったが、学校に行くと部活と数学の時に必ず現れる。こんな所で3年間過ごすのは嫌だ。冒頭で弟みたいに殺される。そう思った自分は放課後職員室に行き、辞めることを伝えた。
辞める時は全くピエロが怖くなかった。なんでかって、戦力にならない自分が辞めた所で止めるわけがないと思ってたから。少し残念がるピエロの大根演技を見てから、自分も少し悔しいような、淋しさもある風な演技をしてサッカー部から身を引いた。
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