当時、中立国として戦争に参加していなかったスペインで感染が流行し、情報統制もなく自由に報道されていたためにこのウイルスの発生源はスペインであると勘違いされて「スペイン風邪」と呼ばれるようになったそうです。しかし、実は発生源はアメリカ本土のカンザス州にあるアメリカ陸軍ファンストン基地なのです。
1918年3月にアメリカ陸軍ファンストン基地で初めてこのウイルスの感染が確認され、その後ヨーロッパ前線に渡った感染者のアメリカ兵によって敵味方関係なくウイルス感染が広がりました。大戦下であり情報統制が敵味方ともに敷かれていたので情報が表に出なかったのです。
これら両事例のウイルスは権威主義国家をめざす中国と民主主義国家をめざすアメリカの軍事細菌兵器開発の落とし子なのか? そしてスペイン風邪を未だに発生源であるアメリカ風邪とは呼ばせないアメリカという国は本当に民主主義国家なのか?
このように所詮、グローバリゼーションの構図とは、大航海時代の植民地政策の現代版であり、いつの世も支配する側にとって都合の良い概念で作られていくものであるといえるかもしれません。
いずれにしても近年の「情報のグローバル化の波」は、国際社会に向けその量と速度を日々増しながら宗教や民族・言語・文化などの地政学的要素と、世界支配をもくろむ国家元首たちの思惑を織りなした情報の波が地球規模で満ち引きを繰り返しては予期せぬ変化を創発させています。
とりわけ経済・金融そして企業経営という分野については昨今、「不確実で複雑」といった的確な将来予測も困難な「創発的関係性」といった環境を作り上げてしまっているのではないかと考えられます。
例えば、50年前まではさほど見向きもされなかった経済的にも小国の国家間の争いが、このグローバリズムという地球上を一つの共同体とみなし、ボーダレスに世界の一体化(グローバル化)をめざす壮大な取り組みの中では、世界経済と世界金融に大きな影響を及ぼすものとなっているという現実です。
何しろ社会のさまざまな環境を取り巻く「情報」というものが今日、人間の処理能力を遥かに超えた「量」と「スピード」を持って地球を駆け巡り、さまざまな環境下で遭遇する情報因子とインターラクティブに影響し合い創発を繰り返しては予想を超えて変化し続けているからなのです。
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