この本を手に取っているあなた方は、今、なお生きている。髪は白くなり、皮膚は乾燥し汚れ、染みで艶を失い、その額には、戦後の日本を創り上げた歴史が刻印されている。それでも、まだ将来の日本の歴史を刻む力は残っているはずだ。

年だからと言う都合の良い言い訳をして、余生をのんびりとして過ごすなどという逃避行動はしてはならない。先送りした数多の問題を放置しても、無視してもならない。

あなた方には今でも、今後、創生される日本の将来に貢献する十分な責任と義務があるのだ。もし、何かが変容し、誤った方向に進んでいる日本の未来に、危機感を抱いているならば、さらに理想とする日本社会を目指すならば、直ちに行動するべきだ。

エンディングには、まだ早く遠い。この本を、読み終えて、自分の歩んだ人生を思い出して、振り返ってほしい。

あなた方が子供の時、抱いた夢は何であったのか? そして、その夢は実現できているのかを?

そしてあなた方が描き希望した日本の姿が目の前にあり、存在しているのかを?

繰り返すが、あなた方が望んだ近い将来に実現される美しい日本の姿を、思い描き、感じてそして想像してほしい。

今、行動する時だ。

あなた方が培ってきた貴重な経験や知識、後継するべき技術や精神を、これからの世代に受け継ぎ次の世代に申し送りし、新しい日本を創り直すという使命が託されているのだ。

この小説ではベビーブームに生まれ、競争社会を生き抜き、日本の高度成長の一翼を支えた幸三という少年に光をあて、その人生を通じて人生の目的、死生観や幸福感について描いた。

この小説をいまでも偉大で光り輝いている団塊の世代の人々と、これからともに新しい日本を創世するために活躍するあなた方の後継者たちに捧げる。

 

 

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