ティーナは、いつもより低く冷たい声で言い放つ。そのせいで、亀の歩みほど遅かったが歩けていたジョシュの足は、完全に止まってしまった。
そんな時、ジョシュの頭にモニュモニュと動いているなにかが落っこちてきた。どうやら、木から落っこちてきたようだ。モニュモニュしているものは、ジョシュの頭の上で気持ち悪く動いている。ログは「なんか乗ってんぞ?」とジョシュに言う。冷たい目をしていたティーナも、一旦怒りを鎮めてジョシュの頭をじっと見つめてみた。
だが、その正体がわかったとき、ティーナは「ヒュッ」と息を呑んだ。
吐き気を催すほど気持ち悪い幼虫が乗っかっていたのだ。
「ジョシュ、あーしから離れて!」
「えっ……? え? なんで?」
「なんでじゃないよ! それキモすぎ、早くどっか行って!!」
ティーナは叫び声をあげた。自身の頭の上に乗るものの正体を知らないジョシュは、自分に言われたんだと思っている。だが、ティーナはジョシュには言っていない。
「お願いだから近づかないでってば!」
「いや、だから、なんで?」
そう言ってジョシュは近づいてくる。とうとう追い詰められ、逃げ場がないところまで来た。幼虫がどんどん迫ってくる。このままじゃ幼虫がティーナに飛び移るかもしれない。
「い、い……」
「え?」
限界に達したティーナはなにも考えずに腕を振り上げた。
「いやあああああっ!!」
「ぐはぁッ!!」