【前回記事を読む】え…土砂崩れ? 出口が塞がれ、道はなくなっていた。ルートを変えて日本海側を通っていくしかないが、命を落とす危険性も…

第二章 旅立ちと仲間

綺麗だ

「どうかしたの?」

「……ティーナ……荷物持っててくれ」

ログは一言そう言って、持っていた荷物をティーナに投げつけた。いきなりのことだったので反応できず、ログの荷物はティーナの顔面にダイレクトアタックし、そこまで痛くはなかったが、もう少し優しく投げろよ、と少しムカッとした。

ログは、ナイフだけを持ち、誰もいないはずの茂みへ向かった。「……出て来いよ、ストーカー。さっきからじろじろ俺たちのこと見てたよな」

「っ……」

重低音の、責め立てるような声で相手に問う。すると、なにもいなかったはずの茂みから一瞬息を吸うような、それぐらい小さな声が聞こえ、葉が揺れる音がした。

(そこに、誰かいるの? ストーカーって……ずっとあーしたちのこと、つけてきてた人がいるの?)

ログに言われるまで気がつかなかったが、確かにさっき一瞬、誰かに見られているような気はした。

「……俺がこのナイフまだ使わないでいるうちに早く出て来いよ」

そう言いながら、手元にあるナイフをちらつかせながら相手を脅す。それでも、誰かが出てくる気配はない。

「……チッ」

我慢の限界が来たのか、ログは怖い舌打ちと共に茂みの中へ手を伸ばし、引っ張り出そうとした。すると、茂みの中にいる誰かが、悲鳴のような情けない声をあげながら飛び出してきた。