「ひええええっ! 出ます出ますぅ!! 殺さないでくださいいぃぃぃ!!」
情けない声をあげながら出てきたその人は、年は自分と同い年、それか年下ほどに見えた。髪はオレンジ色で、前髪のあたりが一部白くなっている、全体的に丸っこい髪型をしていて、中性的な声だった。顔はまるで女子のように可愛い見た目をしていて、こういう人間が「可愛い系男子」というやつなのだろうなぁ、とさっきまでストーカー行為をしていた人間に対して呑気なことを考えていた。
「お前、なんで俺たちのこと、つけてたんだよ」
「うぅううう、ごめんなさああぁい」
「『ごめん』じゃねえよ。理由聞いてんだよ。理由」
「うぅ、それは……言い方悪いんだけど、そこの女の子の見た目がちょっと風変わりっていうか、鬼みたいに見えたから……」
「なぁんだ。そんなことか」
(そういえばあーし、ログが普通になにごともなく接してたから忘れてたけど、この見た目だとこの人の反応が普通なんだよね……髪白いし……角あるし……)
「見た目で判断って、お前……」
「いいのいいの大丈夫! ログとナギサが普通じゃないだけで、そりゃ、角生えてたらびっくり——」
「それに僕の彼女にできるかどうかを確かめようかと……」
いきなりの「彼女にするかどうか」発言にその場は凍りついた。そして、ティーナがやっと絞り出した言葉は、
「……はぁ?」
たった一言だけだった。