【前回記事を読む】ストーカーは"可愛い系男子"だった。つけてきていた理由は、私を「彼女にできるかどうかを確かめようかと…」だった。はぁ?

第二章 旅立ちと仲間

臆病者

あまりにも近い距離で見るので、ティーナはどこに目線を向ければいいんだろう、などいろいろと気まずかった。

(ってか、まつげ長い……目ぇ綺麗だし……髪の毛サラッサラ。可愛い顔してるなぁ)とティーナがジョシュの顔面を評価していると、

「うん……中の下」

ジョシュはティーナから少し離れ、とんでもない地雷発言をすかした顔で言った。囁(ささや)くぐらいの小さな声だったけど、周りに全く雑音がないため、ティーナとログには聞こえてしまった。ログは、「あ、こいつ終わった」となにもかも諦めた顔をし、中の下と言われたティーナは怒りの沸点を通り越して、なにを考えているかわからない怖い真顔をしていた。

「——ジョシュ」

ティーナは、普段からは考えられないほど静かな声でそう言う。怒っているのだ、間違いなく。

ログは背筋が凍った。普段は明るく表情豊かな彼女が、ここまで静かで怖い顔をできるとは思っていなかったのだ。これからティーナに怒られるジョシュの方を、ログは見てみる。

顔が死んでいるみたいに青い。めちゃくちゃ情けなく震えている。

「謝れよ、お前! ティーナに殺されるぞ!?」

ログは小声でジョシュに耳打ちする。「殺されるぞ」はさすがに言い過ぎだと思ったが、謝らないと多分、延々と根に持たれてしまう。正気なのかと疑うほどビビっていたジョシュに言葉が通じたのかどうかわからないが、ジョシュは恐る恐るティーナに近づいた。

「あ、ああ、あの、ティーナ、ちゃん?」

「『ちゃん』付けで呼ばないでよ」