三月下旬、涼真さんの実家で、お夕飯の招待。正月に涼雅君と約束した将棋の対局だ。久しぶりだけど、しっかりネットでおさらいをした。

少し自信がある。友人女子ではナンバーワンだ! 頑張るぞう。「ただいま」涼真さんが挨拶する。

「美樹おばちゃん、待っていたよ!」と、お迎えだ。

「早く、早く!」と、その日の為に、必勝ハチマキを作ってきた。

「美樹おばちゃん、カッコイイ。強そうだよ」お兄様が笑っている。そして、つられてお姉様も笑っている。

「よ~し、一局行きますか!」と、将棋盤に駒の用意はできていた。打ち始めた……何故か三十分で負けた。

「えっ? 涼雅君、強い!」少し待って、本を出し予習。涼雅君、笑っている。

二局目、またまた、三十分で負けた。

「う~ん、涼雅君、おばちゃんの打ち方が悪いの?」

「美樹おばちゃんは飛車と角の使い方を勉強した方がいいよ」

「う~ん、飛車か~。じゃあさーこんな時は?」教えてもらう。お父様、お母様は見ていて楽しそう。

三局目、一時間で撃沈。

「美樹おばちゃん、涼真おじちゃんに教えてもらったら?」

「はぁ~? 涼真さん、将棋できるの?」

「家族で一番強いよ」

「そうなの。嫌だ~、何にも言わないし」

「美樹が聞かないからさ。アハハハハ」

「涼雅君、次回お楽しみにね」

「うん、期待しないで待っているよ。次、おじいちゃん」ズッコケ。

「よ~し、強くなって、帰ってくるぞう」お兄さん夫婦がツボにハマって笑っている。