8月最初の利用は、日曜日昼間からの新宿デートだった。いつもの新宿中央改札口に流星が待ち合わせ時間の12時ぴったりに現れた。

可愛いワンポイントイラストが大きく付いたピンク色のトレーナーと黒いスリムジーンズ、ヒールが8センチもありそうな黒のショートブーツ、髪もふんわりヘアアイロンでセットされ、まるで現役のアイドルがグラビア撮影に来たような雰囲気である。

そんな流星を見た真由子には、凄く可愛いけど、ゲイの女装みたい(ネコ)というか、女性より可愛い男性として同性にアピールする雰囲気が漂っているように見えた。

テーマパークの食事の時、大学生時代、フィリピンのセブ島に1人で1ヶ月滞在した事があると流星が言ったので、後でネットで調べるとその地域は、ゲイの聖地と書いてあった。

もしかして、やっぱりそっちの方面のヒトなのか? そんな疑惑が頭の中をよぎる真由子だったが、気を取り直して、流星とのデートを楽しむことにした。パスタとケーキセットのランチをして、ぶらぶら新宿歌舞伎町方面を歩きながら、真由子が行きたかった綺麗なラブホテルに入った。

流星がTVをつけると毎週日曜の午後やっているノンフィクション番組が流れていた。奇しくもLGBTの方の放送だった。ぼんやり2人で番組を視聴しながら、ふと流星がこんな事を言い出した。

「俺、SMに興味があるんですよね、思いっ切りサディスティックに女性を痛め付けたい願望が強くて……」

「えっー、女性が痛がるとかそんな事?例えばどんな事をしたいの?」

 

真由子は、嫌悪感を感じながら、流星に訊ねた。

「そうですね、風呂場の浴槽に女性の顔を浸けて呼吸出来ないように押さえ付けるとかですかね……」

顔色ひとつ変えずに言い放つ流星に困惑して真由子は言った。

「えっ怖いよ、そんなの。性的に気持ち良くなる責めみたいなのなら、まだ私も理解出来るんだけど、水に顔をつけて呼吸出来ないように押さえ付けるとか、まったく理解出来ないわ」

「そうですか……心を開いてる関係性だと思ってたから、性癖を話したんだけど、理解して貰えなくて残念だな……」

そう返す流星に真由子は、女性を痛めつけたい願望を持っていることを理解するどころか、嫌悪感を抱いた。その後流星にマッサージを真由子はして貰い、その流れで2人は自然に性的関係を持った。

真由子はマゾ女性の気分を味わう為、流星に首を軽く絞めるようにお願いしたら、手の大きな流星は片手で真由子の首を軽く締めた。でもSMっぽいプレイはそのくらいで、その日の2人の交わりはノーマルに終了した。

次回更新は7月2日(水)、18時の予定です。

 

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