【前回の記事を読む】シンデレラタイムは終わり、ふと強烈に、客とセラピストでしかない関係性を突きつけられ...
Chapter 1
神社デートと 結ばれた二人
都営浅草線に乗り換えて最寄り駅の中延から5分程度歩くと蛇窪神社に到着した。真由子は流星と2人分の御朱印帳を購入して烙印して貰い流星に手渡す。流星は神妙な面持ちで真由子より前に進み出て、2礼2拍手1礼をし、本名、住所、会社名を名乗り頭を深々と下げてお参りを済ませた。
真由子もその後に従う。流星の本名、住所、会社名などは、もちろん、真由子は聞かないように下がって待っていた。知りたい気持ちは凄くあったが、やはりお客とセラピストであるマナーは守らなければいけないと真由子は思っていた。
五反田に戻って2人でランチ、鶏肉が歯の隙間に引っかかったと言う流星に、真由子はすかさず爪楊枝を差し出す。流星の役に立つ自分がことごとく嬉しい。ランチを食べても6時間の予約時間の3時間以上が残っていた。
ぶらぶらと歩いて、2人は線路沿いに並ぶラブホテルに自然と吸い込まれた。デラックスな部屋でゆっくり休憩して過ごす事にした。
新宿のラブホテル出張時と違い、手荷物になる出張セットは、流星は持っていなかった。なんとなく休憩に入ったのだ。部屋で流星が真由子にホットコーヒーを入れてくれた。
「あっちっ!!」
カップのフチを掴んだ流星が、手を振って声をあげた。真由子は笑った。普段、年齢の割に落ち着き払った態度の流星が、素の24歳の男の子のリアクションをした。
(ホットコーヒーをお客様に入れてあげるのは、初めてなのかな? 慣れてないんだね、可愛い……)
真由子は流星のふと見せる幼さみたいなものに、強烈に母性本能を刺激されていた。
元々、真由子は年下男子しか好きにならないタチだった。理由は分からないけれど、真由子は年下男子の可愛さがたまらなく好きでしょうがない。
真由子は流星に駅の売店で買った耳かきをしてあげると提案した。流星は素直に真由子の膝枕に頭を乗せて耳かきをして貰う。お客様とセラピストなのに、真由子は流星に耳かきした後、うつ伏せになって貰い、首、肩、腰と一生懸命マッサージしてあげた。
真由子は、マッサージが子供の頃から、両親に進んでしてあげるくらい得意だったのだ。「真由子さん、マッサージのセンス凄くありますね〜上手だ、気持ちいいです」
流星も感心する。真由子は女性にしては割と大きく肉厚な手をしていたのでマッサージ向きなのだろう。指の力もある方だ。ほどなくして2人で並んで寝転び、流星と真由子の添い寝タイムが始まった。
大好きな流星がそばにいると真由子は正直、女性としてもっと触れ合いたい、抱きしめて欲しい、キスされたい……と発情してくる身体を感じていた。