【腫瘍内科医のつぶやき】――二重らせん発見の意味――
遺伝の基本物質であるDNAの構造が二重らせんであることを突き止めたのは若い二人の分子生物学者、アメリカ人のジェームズ・ワトソン(25歳)とイギリス人のフランシス・クリック(36歳)、1953年のことです。
二人が二重らせん構造を解明した論文を『ネイチャー』誌に書いた時、すでに彼らはこの解明が遺伝子の複製について持っている意味を分かっていることを付記しています。
1990年から2003年の間で世界各国の協力によりヒトの約30億塩基対の遺伝子情報が解読されました。そして現在、一人ひとりのがんの遺伝子情報も調べることができます。これらの情報をもとに新たながん治療の研究は着実に進んでいます。
注1)C-CATがんゲノム医療とがん遺伝子パネル検査(閲覧日:2023年5月1日)https://for-patients.c-cat.ncc.go.jp/
注2)Clinical Benefit of Comprehensive Genomic Profiling for Advanced Cancers in India.Aju Mathew JCO Global Oncology(閲覧日:2023年5月1日)https://ascopubs.org/doi/full/10.1200/GO.21.0042
注3)ジェームズ・D・ワトソン著『BLUE BACKS 二重らせん DNAの構造を発見した科学者の記録』江上不二夫/中村桂子訳 講談社 2012年
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