流星は大蛇、真由子は野兎。大蛇の流星にこれから真由子は絡みつかれ飲み込まれてしまう運命だった事は、後から真由子も分かるのだが、流星の前ではまるで無防備な真由子は、
（おっとりとした雰囲気だけど、やっぱり24歳の若い男の子、食欲旺盛だしあっという間に食べちゃうんだ、可愛い……）
若い流星の健康的な食欲にただ感心するのだった。
今日は昼から夕方の16時まで4時間予約していた。真由子には、恋する流星と少しでも長く一緒に過ごしたい気持ちしかなかった。最初の2時間は温めたホットアロマオイル、流星の好きなイランイランの香りに包まれながら、可愛い雰囲気ながら手がしっかりと大きな流星の力強いマッサージを堪能する。
2時間近いマッサージが終わってからは、2人はベッドパットに並んで添い寝しイチャイチャしながら、いろいろな雑談をしながら流星からハグを繰り返しして貰う。まるで恋人同士のような甘い時間を過ごして真由子は、うっとりと満足していると、不意に流星が言った。
「あー、もう、何だか我慢出来なくなるなぁ……。店舗でマッサージする以外に、実は出張もやっててホテルにも呼べるんですよ、セラピストを」店のホームページをそこまで読み込んでいなかった真由子は、出張ホテルマッサージがパラダイスアロマにあるのを知らなかった。
「あ、そうなんですか、ホテルって普通のビジネスホテルとかで私が待っているんですか？」「そうです。ビジネスホテルやラブホテルにお一人で先入りして頂いて、セラピストが予約時間に部屋までお伺いして、アロマオイルマッサージをさせて頂きます」
「へぇー、そうなんだ。そんなシステムがあるんですねー。流星くんがそれがいいならホテルに出張マッサージで来て貰うの、次考えてみます」
（ビジネスホテルは、1人で泊まった事もあるけど……ラブホテルはいつも男性と一緒に入ったから、1人で先に入るなんてイメージ出来なかったわ……）真由子には、新鮮な提案だった。
（でも、ホテルに流星くんを呼んでマッサージして貰うなら、マンションみたいに隣りの部屋を気にしないで、イチャイチャ出来るなぁ。
それに流星くんは我慢出来ないって言ってきたし、もしかしたら、流星くんは私にもっと男女の深いコトを迫りたくて、ホテルの出張マッサージを希望してるのかなぁ……。57歳にもなって若いイケメンにそんな事、望まれるなんてまさかね……）
真由子は、流星がホテルに出張してマッサージしたいと告げてきたのを、不思議に思うと同時に、ホテルに男性セラピストが後からやって来るのは初めての経験だから、それに挑戦してみてもいいかな……と考えながら、新宿から湘南の自宅に帰った。
次回更新は6月19日（木）、18時の予定です。
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