【前回の記事を読む】LINEでリクエストしたバックハグ。「貴女といると落ち着けます」と、腕の中へ引き寄せられ、そのまま指で…
Chapter 1
ハイスペイケメン花川流星との出会い
「あの、流星くんとくっついて思ったんですけど、2人の身体がぴったりしてフィット感が凄くないですか?」
「俺もそう思います」
そう認めあって、2人は後半2時間のアロマオイルマッサージを飛ばしてずっと抱きしめあった。
真由子は流星にしっかり抱きしめられ、忘れていた女性としての気持ちが甦って、完全に恋に堕ちてしまったのだった。
3月も後半になっていた。真由子は流星に3度目の予約を入れた。今までは駅からアクセスの良い渋谷店だったが、予約で満室のため、新宿の西口から少し高層ビル街を歩いて抜けた所にある新宿店での予約となった。
新宿店が入居しているのは、白を基調としたデザイナーズマンションでオートロックだった。エントランスのインターホンで5階の504の番号を押すと、「お待ちしてました。ドアが開きますのでエレベーターで504まで上がってくださいね」
504の部屋のドアが開いて中から流星が顔を覗かせた。この前、渋谷店の部屋で長く抱きしめあった流星は、セラピストというより真由子の目には、付き合い始めたばかりの彼氏に見えた。それにしても流星は、相変わらず極上のイケメンである。
新宿店は渋谷店に比べるとやや狭目だが、その分建物自体が新しいようでキレイな室内である。
真由子は山手線に乗り換える品川駅構内にあるベーカリーでサンドイッチをテイクアウトしていた。ボリュームがあるカツやローストビーフのサンドイッチに、ビジュアル映えの可愛いフルーツサンド……施術前に2人してこれで腹ごしらえをするつもりだっだ。
「わー、サンドイッチ美味しそうだ。実は長い時間、予約連続だと食事を取る暇もないんで助かります」
「良かったー。そんなに喜んでくれて。一緒に食べましょう」
カッコいい流星が真由子のすぐ横に居るだけで胸がいっぱいになり、食べやすいフルーツサンドを真由子が頬張って食べて、ふと流星の方を見ると、ニコニコしながらカツ、ローストビーフ、野菜ハムサンド、真由子に残さず全部あっという間に平らげていた。
満足げな流星の薄い唇を見て、何だかたまごを飲み込む蛇みたいだと真由子は思った。