序章 プレストレストコンクリート
1．プレストレストコンクリートとは
1.1．概要
コンクリートは，圧縮に強く，引張りに弱い材料であるため，鉄筋を内包して引張力に抵抗するように考えられた部材が鉄筋コンクリート（Reinforced―Concrete:―RC）である．鉄筋コンクリート構造が成立する条件としては，以下の内容があげられる．
①コンクリートと鉄筋の付着により一体化した挙動を示す．
②コンクリートと鉄筋の熱膨張係数が等しく温度変化に追随する．
③コンクリートはアルカリ性であるため内包された鉄筋が腐食しにくい．
また，鉄筋コンクリートには，以下に示す得失を考慮したうえで，その使用を検討する必要がある．
①耐久性，耐圧縮性，耐火性に優れる．
②構造物の形状，寸法を定めるうえで自由度が大きい．
③鋼構造と比較した場合，経済性で有利となる．
④自重が大きく，運搬，揚重などの扱いに留意が必要となる．
⑤コンクリートの引張強度が小さく，ひび割れが生じやすい．
⑥強度発現に一定の養生期間が必要になる．
一方，本書で主に扱うプレストレストコンクリート（Prestressed―Concrete:―PC）は，鉄筋，または無筋コンクリートの内部にあらかじめ高強度の鋼材で圧縮力を導入し，部材に引張応力が生じない補強を施した部材である．
プレストレストコンクリートに使用される高強度の鋼材は，通常，PC鋼材と称し，このPC鋼材に引張力を作用させた状態で鉄筋コンクリートの両端部で定着（固定）させることで，鉄筋コンクリート全体に圧縮応力を生じさせる．また，はりなどの棒状部材が上部からの荷重によって曲げ応力を受ける場合，部材の下縁側は引張状態になる．
そのため，PC鋼材を部材の下縁近くに配置し，部材の図心から一定の距離を得た偏心力により，部材に生じる引張力に抵抗させる．これにより，PC鋼材を部材の図心に配置した場合と比較すると，導入する圧縮力自体を節約することができる．
👉『プレストレストコンクリートと都市トンネル工法』連載記事一覧はこちら
【イチオシ記事】「今日で最後にしましょ」不倫相手と別れた十か月後、二人目の子供が生まれた…。W不倫の夫婦の秘密にまみれた家族関係とは
【注目記事】流産を繰り返し、42歳、不妊治療の末ようやく授かった第二子。発達の異常はない。だが、直感で「この子は何か違う」と…
