第1部 正しい心の磨き方 ――理論編――

第1章 心の世界とは何か

01 不幸の原因は心を理解していないことにある

心とはどんなものなのか。心がどれだけ経験や現実に影響を及ぼすのか。

そして、実は心こそ何よりも大事なものであることを、この本を通じて伝えていきたいと思います。

私たちが生きているなかで先人たちの知恵や教えのおかげにより、多くの真理のかけらを知ることができます。たとえば、あまり欲をかくと裏目に回るということを、何となく知っているのではないでしょうか。そのような経験をしたり、話を聞いたりすることで漠然と受け入れて常識としているというのが現状だと思います。

しかし、この教えは心の世界を理解するうえで重要なものなのです。そして、なぜ裏目に回るのだろうという疑問をもつことも大切なのです。

科学や医学の進歩も「なぜ?」から始まります。心の進歩もまた同じです。幼い子供がなんで、なんでと聞きたがるのは人間の本能であり、これを忘れないようにという大人へのメッセージだと思います。

さらに残念なのは、心というものをあまり理解できていないことであり、これこそがすべての不運や不幸の原因となっていることを、この本では伝えたいのです。

人間の体内は細胞レベルで見ると「小さな宇宙」といわれていますが、心の世界もまた同じで理解するほどに広く深いことに驚かれるでしょう。ただ、普通に生きていくうえでは大まかにいくつかの要点をふまえて理解できれば十分だと思います。