【前回の記事を読む】突然現れたのは元カノ⁉ 「子供を産んだの! もう五歳になるの」頭が真っ白になった。順調と思われていた二人の間に亀裂が…

第七章 偶然、元カノに出会う

「早かったのね。朝食作るね」

「いらない。コーヒーが欲しい」と、私も食欲がない。

コーヒーだけで済ました。何もできず、ただ、ただ座っていた。そろそろ、お昼時。さすがにお腹が空いて、温かいおうどんを作った。

「食べましょう」

「ああ」とだけ。

食べながら、

「別れたのは、何時頃なの?」

私は脇汗が凄い! 焦っている。

「僕が、三十四歳の誕生日に別れた。ショックだった。今、四十一だから、あっ! 待てよ! 別れて七年になる。子供が五歳だから、計算が合わない! 何故そんなウソを言ったんだろう。気が動転していて考えられなかった。美樹ありがとう。それにしても、酷いな。そんなウソ、検査すれば直ぐ分かる事を」

本当に、恐ろしい。バカみたいな嘘を! 心静まれ! 身勝手な嘘を。涼真さん、凄くホッとしている。うどんを一気に食べ終わって、

「僕は昨日からどうしていいか分からなくて、怖い事が頭を過った。美樹が離れていくんじゃないかとか、子供を認知したら、彼女と再婚になるんじゃないかとか恐ろしい事ばかり考えていた。絶対に美樹とは別れられないから、子供は認知して養育費を払うとか、パニックになっていたんだ。何か……何か、凄く安心した。ごめんよ。心配かけて」と、抱きしめてくれた。

何故か、涙が溢れて彼の胸を何度か、叩いた……。

月曜日十時、病院で待ち合わせ。女性は一人で来た。

涼真さん、

「子供はどうした。一緒じゃないのか」

「……体調が悪くて、連れてこなかったの」

「子供がいなかったら検査の意味がない。今日は来なくて良かったんじゃないか」

「でも、あなたの子供よ」