「りょ、涼真の婚約者です。余りに急な事でびっくりしています。まずは子供との証明が必要です。DNAの検査をして確認が先でしょう。涼真さんもいいですか? 来週、お子様も一緒に来ていただいて検査に臨みましょう」
冷静を装った。
「私を疑っているんですか!」
バカじゃないの! 当たり前でしょう!
「そうとは言っていませんがこんなに離れていて、涼真さんの子供よって言われて信じられますか? 検査するのは当たり前です。月曜日はどうですか。同時にその場で検査してもらいましょう。それからでも遅くないですよ」
涼真さん、顔が真っ青。
その女性は帰っていった。涼真さんは、呆然として青天の霹靂だったのだろう。
「美樹、帰ろう」
言葉少なめだ。私も何を言っていいか分からない。何を聞けばいいかが分からない。家に着いたが着替えもしないでソファーに座っている。……私は食卓テーブルに座った。
何時間経っただろうか、外は暗くなっている。夕飯を作らなきゃ……立てない。どうすればいい。
子供を認知したら、私と別れるの? 母親が子供は命と同じだからと言っていたのを思い出した。自分の子供と思ったら抱きしめたいだろう。
私から別れを告げる? 嫌だ! できない! 子供を引き取って育てる? できない、できないよ! 寝る時も二人共、天井を見つめていた。長い土曜日が終わった。
日曜日朝、起きれない。辛い。体が? 心が?
涼真さん、ベッドにいない。先に起きている。ぼ~っと、外を見ている。何を考えているのだろう。引き取る事? 私と別れてその女性と再婚? 引き取って私と育てる? 頭がぐちゃぐちゃだ。聞くのが怖い。
次回更新は6月5日(木)、21時の予定です。
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