一日中、上司に呼び出されて、仕事にならなかった。部署の部下から誘われた。
「今日は飲み会ですからね。課長は強制参加ですからね」
「分かった」
飲み会が続きそうだから涼真さんに連絡しておこう。
「涼真さん、今日から帰り遅くなるね。部署の飲み会。え? 部長に辞職願提出したよ。何といったと思う。何で?とか男か?って言うのよ。それもフロア全部に聞こえるくらいに、大きな声で」
『アハハハハ。上司に可愛がられているんだな』
「そうかなぁ。男っ気が無かったから、使いやすかったと思う」
『しばらくは、飲み会続きそうだね』
「木曜日は、部長会と課長会の合同飲み会、金曜日は同期会、メールが入っていた。それが強敵飲み会」
『ありがとう。辛かったね。愛しているよ。幸せにするからね』
「うん、嬉しい。帰ったら電話するね」
『ああ、気を付けてよ』
「ええ、あ・い・し・て・る」
『おおー、そんな事言ったら、拉致しに行きたくなるだろう』
「うふふふ」
退社時間。
「柳澤課長、早く行きましょう」
隣の部署の社員も、
「僕達も参加したい!」
「ダメ~、私達部署のチームだけ~」
「ええー、ケチ! 僕達もお世話になったんだよ!」
「ケチですよ、じゃねえ~」
ワイワイ部署チームでいつもの居酒屋で係長が、
「まずは、乾杯。柳澤課長、おめでとうございます」
「ありがとう」
照れ臭い。こそばゆい感じ。
「まずは、馴れ初め」
「いいよ~」
「ダメです。義務です」
「何の義務よ」
「分からない義務ですが、話してください。ねぇ、皆~」
「そうです!」拍手喝采。「分かった。まずはびっくりする事から。……九歳年下です」
「ええっ? 騙したんですか!」
「バカな事を言わないでよ」