この五つ子が生まれた時、父親の皇太子アルバートは、王国を離れ「花の都(みやこ)」とよばれるヨーロッパ一の大都会に出かけていました。若者によるスポーツの祭典(さいてん)に、選手として出場するためです。
五つ子誕生の知らせは、すぐにアルバートのもとに電報(でんぽう)で届けられ、皇太子を驚かせました。皇太子は、すぐに三人の王子と二人の王女の名前を手紙にしたため、エドワード国王とお妃のクリスティーナに送りました。
手紙には、王子の名前が生まれた順にフィリップ(Philip)、エリック(Eric)、エリオット(Eliot)と書かれていました。王女の名前も生まれた順に、アンジェラ(Angela)、カトリーヌ(Catherine)と書かれていました。
手紙を受け取った皇太子妃は、三人の王子の名前を、子どもたちに語りかけるように、王さまの前で何回も声に出して読んでみました。
「フィリップ、エリック、エリオット。フィリップ、エリック、エリオット……」
「クリスティーナよ、なかなかよい響(ひび)きではないか! フィリップ、エリック、エリオット……」
王さまも三人の王子の名前を声に出し、嬉しそうに大きくうなずくのでした。そして、二人の王女の名前も声に出して読んでみました。
「アンジェラ、カトリーヌ。アンジェラ、カトリーヌ……」
皇太子妃は、
「アンジェラ、そしてカトリーヌ。なんと美しい名前でしょう!」と大きな瞳(ひとみ)で、王さまに微笑(ほほえ)むのでした。
ユートピリッツ王国では、生まれてきた順番に兄弟・姉妹の順が決まります。
この五つ子が生まれた時は、男の子、男の子、そして、女の子、女の子、最後に男の子の順でした。ですから、長男、次男、長女、次女、そして三男となりますが、五人が暮らし始めた王宮(おうきゅう)の中では、それぞれ第一王子、第二王子、第一王女、第二王女、そして第三王子とよばれていました。
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